キースイッチを考える2024(ReaKS)

キースイッチ、それは面倒(2年ぶり)
キースイッチというのはCuBASEだとエクスプレッションマップ、Studio Oneだとサウンド・バリエーションという名前ですかね、サンプリング音源などのアーティキュレーション(奏法)を切り替える機能なのですが、REAPERのピアノロールにはそれが無いため、有志の方々により様々なスクリプトが作られています。

中でもReaticulateは現時点で最強の機能性を誇っており、VSLやSpitfireといったオーケストラ系の音源を制御される方はこれ一択と言ってもよいかもしれません。もうこれをREAPERにネイティブ搭載してくれよなんて意見もフォーラムで出てました。

Reaticulate | a free articulation management system for REAPER
Reaticulate | a free articulation management system for REAPER


しかし私はこれ使ってなくて、一度試したときにBankで制御される部分が自分の使い方とちょっとバッティングしてしまい導入を見送りました。そもそも私オーケストラ系みたいな規模のでかい音源ってほとんど持ってないもんでもっとシンプルな物のほうがいいなーと。
じゃあどうしているのかというと、前にも一度書いたんですけどMIDI Note Namesという、ピアノロールの鍵盤部分に表示するノート名をカスタマイズできる機能で間に合わせてきました。が、ピアノロールの縦幅が足りなくなる場面が多く、音源によってはピアノロールを頻繁に上下スクロールさせる必要があってほのかな不便さを感じておりました。
今回はそんな不便さを解消してくれたReaKSというスクリプトを張り切ってご紹介してまいります。

ReaKSの概要

Ugurcan Orcun(Kabraxis)様作、Key Switch用MIDIノートの挿入と、ノート/CC名を管理するためのMIDIエディタツールです。
トラックに読み込まれたMIDINoteNames情報をボタンにしてくれると言いますか。私はピアノロールの左にドッキングしてキースイッチ送信パネル的に使っています。

ReaKS - Keyswitch Manager for Reaper - Cockos Incorporated Forums
ReaKS - Keyswitch Manager for Reaper ReaScript, JSFX, REAPER Plug-in Extensions, Developer Forum

インストール方法

ReaPackから「ReaKS」を検索してインストールします。
※ReaPackデフォルトのReaTeamリポジトリに登録されているのでアドレスの追加は不要です。

MIDINoteNamesファイルの準備

音源ごとにNote Mapファイルが必要

これはノート名やCC名を書いたテキストファイルで、基本的に/REAPERリソースフォルダ/MIDINoteNames/フォルダに置いてピアノロールから読み込んで使います。
私はだいたい自前でこさえてますけど、REAPER Stashに多くのMAPファイルが公開されていますので探してみてください。
https://stash.reaper.fm/tag/Key-Maps

Mapファイルの例

NIのアイルランド楽器のライブラリに入っている「Irish Flute」だとこんな内容になります。

# MIDI note/CC name map
CC1 Dynamic
86 D 6
62 D 4

45 [Phrase]6
43 [Phrase]5
42 Stop Note
41 [Phrase]4
40 [Phrase]3
39 Cresc
38 [Phrase]2
37 FadeOut
36 [Phrase]1
35 LowerHT
34 Legato Alt
33 Triplet3
32 Triplet2
31 Cut Short
30 Triplet1
29 Cut
28 Strike
27 Slide
26 SndVar
25 Long
24 Short

86のD6は最高音、62のD4最低音なのでメモ代わりに入れてありますがこれは無くてもよいです。

REAPERのピアノロールには「Note Mapに登録されているノートだけ表示する」というモードがあるため、キースイッチだけでなく通常のノート名(C3等)も記載されたMapデータもよくあります。
しかしReaKSではMapファイルに記載されたものは全てキースイッチとして扱われてしまい、ちょっとスクリプトの動作的に不便になってしまうので、通常のノートは削除した方が使いやすいです。(SHIFT+クリックで回避可能)

使い方

Note Mapファイルを読み込む

まずはトラックに音源を立ち上げ、MIDIエディタを開いて音源用のMapファイルを読み込みます。
REAPERのアクション(Load note/CC names from file)で読み込んでもいいですし、ReaKSを起動してLoadボタンを押しても同じアクションが実行されます。
また、最近読み込んだMapファイルをメニュー形式で表示する便利アクションもあります。読み込み時の手数が少し減ってQOLがやや上がるので以下の2つのアクションとReaKSをToolbarに並べるとよいでしょう。

  • Load note/CC names from file
  • Show menu of MIDI note/CC name files at mouse cursor

ReaKSを起動

ReaKSはMIDI用なのでアクションリストのMIDIエディタから立ち上げます。
スクリプト内の「▼Keyswitches」を押すとキースイッチ欄が表示されます。もし表示されなかったらReaKS上部のRefreshボタンを押すと読み込み直してくれます。このRefreshボタンはわりと頻繁に使います。
スクリプト本体はフローティングのままでもよいですし、ピアノロールの左右どちらかにドッキングさせても使いやすいかと思います。

選択ノートにキースイッチをインサート

ノートを選択した状態でクリックすると、ノートの長さに合わせてキースイッチを置いてくれます。

カーソル位置にキースイッチをインサート(Smart Insert)

選択ノートが無い場合は、現在のグリッド幅で、かつ重ならないようにキースイッチを置いてくれます。

Smart Insertをバイパス

SHIFT+クリックでSmart Insertがバイパスされるので、既存のキースイッチを変更せずに置いてくれます。
通常のノートを含んだMapファイルの場合、この機能を使わないと通常のノートがキースイッチに消されてしまいます。

その他の機能

Alt/Optキーを押しながらクリック
カーソル位置のキースイッチを削除します。

Ctrl/Cmdキーを押しながらクリック
プレビュー機能です。キースイッチは置かれずに、MIDI信号だけ送られます。

▼CC Lanes
Focusボタンを押すとMapファイル内で設定したCCのレーンを表示します。地味に便利。

Inject
ReaKSからNote Nameを設定できます。

スクリプト設定

Insert Text Events
キースイッチを置くと同時にテキストイベントも置いてくれます。
ただ、ReaKSのAlt+クリックでキースイッチを削除した際にテキストイベントは削除されずそのまま残るのでご注意。

Send MIDI Note
キースイッチを置くと同時にMIDIノート情報を送信します。

Chase Mode
間が空かないようにキースイッチを配置してくれます。キースイッチを押しっぱなしにしないと効かないような音源向け?

KS per Column
キースイッチを表示する欄の縦幅を設定します。自分の環境に合った幅を探りましょう。
ちなみにこのスクリプトはスクロールバーが無いので環境によっては表示しきれない部分が出てしまいますが、うちの環境だとSHIFT+マウスホイールで左右にスクロールできてます。

New Note Offset
キースイッチを配置する際のオフセットを設定できます。
-16だとカーソル位置から16ティック手前に置いてくれます。

関係ないけどCubase Pro14を買ったぞ

CuBASE12を持っていた私ですが最近は全然使っていませんでした…でもCubaseとStudio Oneは追っていきたい気持ちがあるので、9月頃のセールでCubase13へのアプグレ半額を買って寝かせて先日グレースピリオドを使って14にしましたYeah。買ったまま認証もせず寝かせるようなDAWを今後使うのですか…?と言われると使わないかもしれないけれど使うかもしれない。未来の自分への投資なのです。(うーん)

正味な話、編集・ミックス・マスタリングに関しては自分好みにカスタマイズしまくったREAPERじゃないともはや作業効率が激落ちしてしまうので、Cockosが開発を止めるまではREAPERを使い続けそうな予感はしてます。ただ個人的な話なんですけど、音楽製作に関してはDAWを操作している時間よりも、音源のプリセットを延々と探したり音ネタを延々と探したりコード進行やフレーズをRecしちゃー消す時間のほうがはるかに長いのでDAWの効率なぞ些細な問題だよなと。それならば最新の機能が搭載されているCubaseやStudio Oneを使ってもいいなと。まぁStudio Oneはいわゆるハンドツールによるスクロール機能が無いのでv5で止めてDDP書き出しツールにしちゃってますけど…ハンドツール欲しいなぁ。

そんなこんなでCubase14をインストールして少し試しましたが好感触です😙
13で結構な改良が入ったとは聞いていましたが、Cubaseの独特なクセっぽい部分がだいぶ緩和されている印象。REAPERに慣れてると痒い所に手が届かない部分はあるものの、このカチっとしたネイティブ感はやはり良い…

関係ないけどお便り紹介

む、メールフォームから英語のスパムが届くのは珍しいなと思いきや、よく見たらスパムじゃない…?

こんにちは、KAZさんですか?
I just want to say: it’s better not to use the RME audio interface, it sounds bland and boring, try the ZOOM AMS series.
It’s cheap but very good. the sound is much more comfortable and musical, give it a try.

#英語部分の翻訳
ただ言いたいのは、RMEオーディオインターフェイスは使わないほうがいい、味気なくて退屈に聞こえる、ZOOM AMSシリーズを試してみてくださいということです。
安いけどとても良いです。サウンドはより快適で音楽的です。ぜひお試しください。

RMEのインターフェースを悪くいうな!!!(半ギレ)あとKAZさんじゃないです:)
ZOOMも好きですよ!初めて買ったエフェクターはZOOMのギター用マルチだった覚えがあります。浜松駅の近くにあるYAMAHAで。ん、いやどうだったかな…まぁさておき、いま手元にあるZOOM製品はiPhone用のステレオマイク(iQ7)だけかなぁ。環境音の録音でたまに使ってます。

業務で使う機材を選ぶときは耐久性を重視するので、どうしてもある程度の値段の物を選んでしまうんですよね。オーディオI/Fのように壊れると即座に仕事ができなくなるような機材は特に。
練馬のスタジオでバックアップシステム用に買ったRMEのMulti Faceが17年くらい経った今でも動いているので恐怖すら感じます。ゆえにオーディオI/FはRMEを選んでゆきたい。ゆきたいが円安で気軽に買えない値段になっているので今使っているFire Faceが壊れたらMOTUやZOOMも検討してみようか、もしくはUADのApolloに一本化するか…悩ましいです。米も高いし。

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