- 以前、スタジオのサイトで公開していたレコーディングスタジオ用語集です。
- 一般的ではなかったり、ローカルな語もあるかもしれないのでご容赦!
ア行
- 朝10(あさじゅう)
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- 朝の10時にスタジオ入り、または収録を開始する事を指す。
- 特に音楽業界は朝が遅いので、「申し訳ないけど朝早くからお願い」という意味合いを含む。
- 頭(あたま)
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- 音楽やナレーションなどのはじめの部分。
- データの先頭からという事を強調する為に「ドあたま」と言われる事もある。
- 頭揃い(あたまぞろい)
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- 開始位置を揃えた音素材を指す。
- 例えばドラムとベースのトラックを同じ位置から再生すると同期するように調整された音声データの事。
- あてる
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- セリフを画面のキャラクターにあわせて吹き込む作業。
- AKG(あーかーげー、あかげ)
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- ヨーロッパを代表する音響機器メーカー。
- AKGのマイクとヘッドフォンはレコーディングスタジオの定番機器。
- アレンジ
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- 編曲・アレンジメント。
- 特定パートの演奏を指す事もある。
- EQ(いーきゅー)
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- イコライザーの意。
- レコーディングやミックスでは主にパラメトリックEQという種類が使われる。
- イキ
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- ディレクション時のOKテイクを指す。イントネーションは「イ↓キ↑」
- 例:「今のテイク、台本と違うけど良かったのでイキで」
- ディレクション時のOKテイクを指す。イントネーションは「イ↓キ↑」
- 息演技(いきえんぎ)
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- 「…………」のような台詞を息のみで表現すること。
- 「息芝居」と言われることも多く、「いき」と略される事もある。
- 例:「次の台詞、息入れてください」
- 位相(いそう)
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- レコーディングやミックス時の音声波形の位相を指す。
- 録音機器には位相を反転させるスイッチが付いている物が多い。詳細はWiki等を。
- 例:「ドラムの抜けがイマイチ……位相悪いかもですね」
- 入り(いり)
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- スタジオへ入る時間の事。
- 台詞や歌の冒頭を指す場合も。
- ME(えむいー)
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- Music Effectの略で、音楽を利用した効果音。
- 数秒から数十秒の短い音楽を指す事が多い。
- オケ
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- オーケストラの略。転じて歌のバック演奏(カラオケデータ)を指す。
- 例:「モニターのオケ、ちょっと上げてもらえます?」
- オーケストラの略。転じて歌のバック演奏(カラオケデータ)を指す。
- 押す(おす)
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- 予定の収録時間よりも長引いてしまうこと。
- 例:「前の方、10分ほど押してます」
- 予定の収録時間よりも長引いてしまうこと。
- オン・オフ
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- マイクに近いか遠いかを表す。
- 特に決まりはないが、オンマイクはマイクべったりから30cmくらい、オフマイクはだいたい30cm以上。
- 例:「28番のセリフ、ちょっとオフってたのでリテイクで」
- オンリー
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- 本番終了後、個々のセリフを録りなおすこと。
- 例:「このあと○○のセリフだけオンリーでいただきます」
- 本番終了後、個々のセリフを録りなおすこと。
カ行
- 返り(かえり)
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- キューボックスに送り返される音のこと。
- カフボックス
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- ブース内でマイクへの信号をON/OFFできる機材。
- 名前の通り咳をするとき等、手元で音声をミュートするために使用される。
- 被る(かぶる)
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- セリフとセリフが重なること。
- 例:「4ページのセリフは被らないようにお願いします」
- セリフとセリフが重なること。
- ガラる
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- 声がガラガラしてしまうこと。主に痰が絡んだ際に起こる。お湯を飲んだり、お湯にハチミツを溶かして飲んだりすると喉が開いて軽減出来ることがある。
- ガヤ
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- 通行人、群集などのエキストラを指す。
- 完パケ(かんぱけ)
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- 完全パッケージの略。完成品の意。
- スタジオ業務内では主にマスタリングまで終わった楽曲・音声データを指す。
- キープ
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- 役者やスタジオのスケジュールを押さえる事。確定前のキープは「仮キープ」。
- 例:「では20日から4日間キープでお願いします」
- 役者やスタジオのスケジュールを押さえる事。確定前のキープは「仮キープ」。
- キューボックス
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- レコーディングブース内にある歌唱・演奏者用の小型ミキサー。これを調整する事によって、演者が好みのバランスでモニター出来る。
- キューランプ
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- 録音開始、または録音中を合図する電球。「どうぞ」のように声で録音開始を指示する事は「声キュー」、手の動作で指示する事は「手キュー」と呼ばれる。
- ギリ
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- ギリギリの略。
- 例:「明日の入り、前の録りが押すかもしれないので16時ギリで」
- ギリギリの略。
- くう
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- リズムのアクセント部分が、通常の拍から前にずれていること。例えば、小節の8分音符前にアクセントがあり、その音が次の小節まで繋がっている部分。本来はアンティシペーションと言うが、シンコペーションと混同され、さらにシンコペと略されて使われる事が多い。
- 例:「サビの頭、メロがくってるからリズム気をつけて」
- リズムのアクセント部分が、通常の拍から前にずれていること。例えば、小節の8分音符前にアクセントがあり、その音が次の小節まで繋がっている部分。本来はアンティシペーションと言うが、シンコペーションと混同され、さらにシンコペと略されて使われる事が多い。
- クリック
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- リズムキープをするためのメトロノーム音。
- 古くは「ドンカマ」とも。
- ケツ
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- 主にスケジュールの終了時間を指す。
- 例:「今日はケツ何時ですか?」
- アニメでは台詞等の終わりの部分を指す。
- 例:「この台詞はケツだけ合わせてもらえれば大丈夫です」
- 主にスケジュールの終了時間を指す。
- ケロる
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- ボーカルのピッチ修正がきつすぎて、機械的になってしまうこと。
- エフェクト的に使われることも多い。(ダフト・パンク「ワンモアタイム」、perfume全般等)
- 原音(げんおん)
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- 外国映画などの、もともとの出演者の声。
- 58(ごっぱー、ごーはち)
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- SHURE(シュアー)のボーカル用ダイナミックマイク「SM58」を指す。
- ライブやコンサートでのボーカル用マイクとしては定番中の定番。
- コントロールルーム
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- レコーディングスタジオ内の、録音機材を設置してある部屋の事。
- スタジオは主にコントロールルームとレコーディングブースに分かれている。
サ行
- サチる
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- サチュレーションの略。
- 録音機器等にわざと音をオーバー気味に入力して歪みを得ること。アナログ機器では独特のサチュレーションが得られる事がある。
- サビ
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- 曲の盛り上がる部分。英語ではブリッジと呼ばれる。
- 尺(しゃく)
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- セリフや音楽などの長さ。
- 素(す)
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- 音のない部分のこと。
- すべる
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- 台詞の発音がはっきりしなかった際に使われるリテイク指示。
- スペアナ
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- スペクトラム・アナライザーの略。
- 横軸に周波数、縦軸にレベルが表示されるメーター。
- 声音(せいおん)
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- セリフやBGM、SE等、全ての音を最終的にバランスよくまとめて仕上げる作業。
- ミックスと似ているが、主に台詞のあるメディア(アニメ、ドラマ)で使われる。
- 宣材(せんざい)
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- 宣伝材料の略。プロフィール写真やボイスサンプルを指す。
- ゼンハ
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- ドイツのオーディオ機器メーカーSennheiser(ゼンハイザー)の略。
- マイクやヘッドフォンは定番機器としてレコーディングスタジオで使われる事が多い。
- ソフトシンセ
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- ソフトウェア・シンセサイザーの略。
- PC上でシンセサイザーの機能をエミュレートしたソフトウェア。近年ではハードウェアシンセよりもソフトウェアシンセが主流となっている。
タ行
- 卓(たく)
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- ミキシング・コンソールを指す。
- 元々はミキサーの調整卓のパネル部分を指していたが、転じて大型ミキサー自体を意味するようになった。単にコンソールと言われることも。
- 叩く(たたく)
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- コピーする事。
- 同期の技術が発展していない時代、主にオープンリールなどで、他の再生機器で鳴らしている音にタイミングを合わせて再生ボタンを押す事を叩くと言われ、ダビングの時に同じテープの音を他の場所で使う時によく行われたので、それが転じたのではないかと思われる。
- 近年ではそのままコピーやコピペといった言葉が使われている。コンプレッサーやリミッターで音のピークを押さえる時にも使われる。
- 立ち位置(たちいち)
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- 出演者などが立つ位置のこと。
- DAW(だう、でぃーえーだぶる)
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- デジタル・オーディオ・ワークステーションの略。
- 録音や作曲用ソフトウェアを指す。代表的なDAWにPro Tools、CuBASE等がある。
- つるっと
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- ある程度まとまった量の台詞を録る事。
- さらに大きいくくりになると「丸っと」が使われる。
- 例:「次のシーン、ちょっと長いですが切れ目が無いのでつるっと録ってみますか」
- てっぺん
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- 午前0時の意味。
- アナログ時計の針の位置からこう言われるようになったと思われる。主に「てっぺん回る」というように使われ、収録が深夜まで及んでしまった事を意味する。
- 同録(どうろく)
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- 同時録音の略。
- トークバック
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- コントロールルームとブースとで連絡を取る為の通話機能。通常はミキサーに内蔵されている。
- 取っ払い(とっぱらい)
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- ギャラをその場で現金払いする事。
- 例:「取っ払いでガヤの仕事あるけどどう?」「やるやるーお金大好き」
- ギャラをその場で現金払いする事。
- トップ
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- トップノートの略。主に歌物で一番高い音を指す。
- トラックダウン
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- マルチトラックの素材をミキシングし、2トラックのステレオにまとめる事。
- TD、ミックスダウン、落とす、とも言われる。
- ドンシャリ
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- 低域と高域が強調された音。
ナ行
- ニアモニ
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- ニア・フィールド・モニターの略。
- レコーディングスタジオの録音時に使われるスモール・モニタースピーカーを指す。
- 粘る(ねばる)
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- 指定された秒数より短くセリフを言い終わってしまったとき、喋るテンポをゆっくりにして時間を合わせること。
- 例:「後ろ3秒余ってて早上がりなのでもう少し粘って喋ってください」
- 指定された秒数より短くセリフを言い終わってしまったとき、喋るテンポをゆっくりにして時間を合わせること。
- Neumann(のいまん)
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- スタジオでは主にノイマン製のマイクを指す。
- ノイマンのU67やU87は世界的にも定番のマイク。
ハ行
- ハイパス
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- ハイパス・フィルター(HPF)の略。
- 設定した周波数より高域の音のみを通すフィルターで、ローカットフィルターとも呼ばれる。低域には不要な音が録音されてしまう事が多いため、マイクプリやマイク自体にこのフィルターを搭載している事が多い。
- ハウる
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- ハウリングの意。
- スピーカーからの音をマイクが拾って、その音が再びスピーカーから出て…という事がループしてしまい、「キーーン」「ブーーン」というような大音量の耳に痛いノイズが鳴ってしまうこと。
- 例:「ハウってるハウってる!」
- 走る(はしる)
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- 演奏や歌唱がテンポより早くなってしまう事。
- 逆に遅れる事は「モタる」。
- 87(ぱーなな)
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- ノイマンのマイク「U87」の略称。ハチナナと呼ばれる事も。
- パクる
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- 指定された秒数に対して、セリフを早く言い終わってまうこと。間違いなくNGになる。早上がりとも。
- パラ
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- パラ・アウトの略。
- トラックごとの出力を個別に出すためのアウトプット端子を指す。「パラ=個別の素材」という意味で使われる事も多い。
- パライコ
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- パラメトリック・イコライザーの略。
- ゲイン、その周波数、特性の鋭さ(Q)を自由に設定できるイコライザー。レコーディングやミックスでは主にパライコが使われる。
- バラし
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- 予定をキャンセルする事。
- 例:「金曜の仮キープはバラしちゃってください」
- 予定をキャンセルする事。
- パンチ・イン
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- 録音されている一部分だけを差し替えたい時に使われる録音方法。
- 近年ではPCやDAWの進化によりトラック数の制限はほぼ無くなっているので、パンチインせず別トラックに録音していく事が多い。
- ピーク
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- 音量の最高値。
- ピークが限界値を越えてしまうと音が歪んだり割れたりしてしまうので、録音中エンジニアはピークレベルメーターを注視している。
- 例:「叫び台詞、ピーク行っちゃったんでリテイクで」
- ピックアップ
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- スタジオ関連だと、事務所やスタジオに台本等を取りに行くこと。
- ピッチ
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- レコーディングでは主に歌の音程を指す。
- 音程が上がり気味だと「#シャープ」、下がり気味だと「♭フラット」しているとも言われる。
- 例:「Aメロ、ちょっとピッチ甘かったのでもう一回いってみましょう」
- 吹く(ふく)
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- マイクに風が当たって「ボフっ」というノイズが入ってしまう事。ポップノイズとも呼ばれ、主にマイクに寄りすぎて入ってしまう事が多い。 EQで除去できる事が多いので、いいテイクなのに吹いてしまったらお試しを。
- プリ
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- マイク・プリアンプの略。
- 話の流れ的にはプリフェーダーだったりプリインサートエフェクトにも。
- プリプロ
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- プリプロダクションの略。
- スポンサーやディレクターに聞いてもらうために作った仮の曲を指す。ざっくり「ラフ」と言われることも多い。
- プレイバック
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- 録音したデータを再生する事。
- ブレス
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- セリフや歌、楽器の息継ぎ部分を指す。収録した息の音を指す事もある。
- プロツー
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- Pro Toolsの略。
- レコーディングスタジオでは標準のDAWとも言えるレコーディング用ソフトウェア。他にも「ツールス」と略される事がある。
- V(ぶい)
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- ビデオの略(VHS、またはビデオテープの略かもしれない)
- 主にアニメ等のアフレコ用に上がったビデオテープを指す。最近ではDVDに移行してきたが、そのままVと呼ばれる事が多い。
- VU(ぶいゆー)
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- VUメーターの略。
- ピークメーターとは違い、音量感を確認するためのメーター。
- ペーパーノイズ
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- 台本や楽譜をめくる際に入るペラっという音を指す。
- 「ペーパー」と略される事もある。台詞や歌に被ってしまわないよう注意。
- ベリ
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- ドイツのオーディオ機器メーカーBEHRINGER(べりんがー)の略。
- コストパフォーマンスの優れた機器を量産している。
- ポップガード
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- ポップノイズを防ぐため、マイクの前に設置する網状の物。
- ポップスクリーンとも呼ばれる。(Google画像検索)
マ行以降
- 巻き(まき)
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- なるべく進行が早くなるように急ぐ事。
- またぐ
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- 台本の台詞が途中で途切れて、次のページへ続いてしまっている事。読み辛くなるので注意が必要。
- マスタリング
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- CDプレス等をする際のマスター(原盤)を作成する作業。
- 2ミックス素材の音質や音圧を調整する事も指す。
- 回す(まわす)
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- 録音する事。
- PCでのHDDレコーディングが普及する以前はテープ式のレコーダーでの録音が一般的だったので、テープを回す=録音するという意味で使われていると思われる。
- 録音をイメージしやすい言葉のため、HDDレコーディングが普及した現在でも頻繁に使用されている。
- 魔方陣(まほうじん)
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- すっかり一般的になったバイノーラル録音。その収録時に使用される床の位置指定が怪しげな儀式に見えるためこう呼ばれる。こともある。
- 以下のように数字がダミーヘッドマイクを中心として床に貼られ、台本には台詞と一緒にしゃべる位置が数字で指定されている。
- ミキサーさん
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- レコーディングエンジニアの少しレトロな呼び方。
- 普段ミキサーを操作してる為、こう呼ばれるようになったと思われる。
- モブ
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- モブキャラクターの略。
- 意味は「群集」だが、レコーディングでは主に名前の無い個々のキャラを指す。(男子生徒A、先生B、等)
- モニター
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- スタジオではスピーカーやヘッドフォンの事をモニターと呼ぶ事が多い。
- ヨンパチ
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- 48kHzの俗称。
- CDの音質は44.1kHz、16bitだが、レコーディングでは48kHz、24bitで録る事が多く、最終段階でCD音質に落とすのが一般的。
- ハイレゾが浸透してきた昨今、96kHz、24bitでマスターを仕上げる事も珍しくなくなった。
- 例:「ボーカルはヨンパチニーヨンで」(48kHz、24bit)
- ラリー
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- クライアントと作業者間のやりとりのうち、「ラフの提出→リテイク→修正して提出~」の繰り返しを指す。テニスや卓球等、球技でのラリーが由来。
- 例:「ラリー中に申し訳ないのですが仕様変更が発生しました……」「!!」
- クライアントと作業者間のやりとりのうち、「ラフの提出→リテイク→修正して提出~」の繰り返しを指す。テニスや卓球等、球技でのラリーが由来。
- リップノイズ
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- 喋ったり歌ったりする際に唇等から出てしまうノイズの総称。
- しゃべり方、口の開け方、口内の水分量の調整によって軽減できる事もある。単にリップと略される事も。
- リレー
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- ギャラの支払い方法の一種(滅多には聞きませんが…)
- 陸上競技のリレーが由来で、例えば、仲介業者がクライアントからの支払いを確認後、下請けに支払うという流れを指す。よって、クライアントからの支払いが滞ると外注への支払いも止まる事になるので、私のような最下流下請け業者にとっては恐怖。
- 例:「今回の支払い、リレーになるけどいいよね」「!!」
- レベル
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- 音量の事。録音機器の音量調整はレベルを取ると言われる。
- ロレる
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- 台詞を噛んでしまう事の一種。
- ラ行の言葉をミスってしまった時に使われる。
- 例:「今の台詞ロレっちゃってたのでリテイクで!」