ワンオペ配信への道2020

新型コロナの影響でライブは配信が主流となった激動の2020年がもうすぐ終わります…。私がお手伝いしている「りたのじかん」シリーズも、5月、8月、11月に配信で開催されました。ご視聴いただいた皆様ありがとうございました。
中でも11月の配信では機材や設定をいろいろ試してノウハウがたまったので備忘録的な意味でブログに残しとこうかと思います。Windows10+UAD Apolloシリーズ環境の方にはもしかすると参考になるかもしれません。(いやどうだろう)

配信環境あれこれ

まず、りたのじかん the 配信はRitaさんのワンオペによって行われる現代の闇を煮詰めたブラックバイトのような配信であり歌いながらPAもこなさねばなりません。

5月と8月はWindows10のノートPCとOBS、YAMAHAのAG03というオーディオインターフェースを内蔵したミキサーで配信されました。ムービー作成やOBSへの仕込みなども全てRitaさんがやってます。

このAG03、DSPエフェクトを内蔵していてマイクにコンプとリバーブをかけられるので、ボーカル1本+カラオケ構成の配信に必要な機能が全て入っております。マイクプリと内蔵エフェクトの質も思っていたよりはるかに良く、リバーブのオンオフもミキサーのスイッチで切り替えられます。カラオケはiPadに仕込み、アナログでAG03に入れてRitaさんがポン出し(再生)しました。そういえば、Siri…起動しちゃいましたね…(Hey Siri!≒はしりだす)

AG03による配信は機材を最小限におさえられてトラブルも無くワンオペもしやすい……じゃあこれでいいやんけ!とはならないのがコロナ禍の難しいところ。
一般的に奏者はお客さんが聞く音とは違うバランスでモニターします。自分の声・楽器を大きめに調整される方が多いですね。Ritaさんも自分の声を大きめに調整するタイプです。しかし上記の機材ではミキサーの出力音をそのまま配信する形になるので、自分の声を大きくすると当然オケが小さいバランスで配信されてしまいます。

5月と8月の配信ではRitaさん的にギリギリまでオケの音量を上げていたのですが、それでもやはり聞く側からするとオケが小さめ。また、モニターバランスが悪いと奏者のパフォーマンスにも影響し、ボーカリストの場合はのどを枯らしてしまう事も珍しくありません。
そこで11月の配信では思い切って機材の入れ替えを決行。以下の操作を配信者の手元で行える環境を揃えてみました。

  • 配信の音はそのままに自分の声とオケの音量を変えられる
  • マイクのオンオフ
  • リバーブのオンオフ
  • オケの再生・停止
オーディオインターフェース

そこそこ出力が多いインターフェースでないと配信と別系統のモニターを作れないので余らしていたUAD Apollo FireWireを使用しました。いやね、これ今年の頭までレコーディングに使っていたのですがレコーディング用のPCが突然死してしまい、せっかくの機会だからとApollo X4を導入した後しまい込んでたんですよ。売ったりしなくてよかったです。(令和の時代にFireWireの機材は売れないかぁ)今年はPC壊れるわエアコン2台壊れるわでなんだか散々です。

ルーティングはApolloのメイン出力を配信に使い、ボーカルやカラオケの信号を別チャンネルに分けて配信者用のアナログミキサーに送ります。ボーカルレコーディングのルーティングとだいたい同じです。

  • Apolloのモニターアウト→配信
  • ApolloのLine Out1→マイク
  • ApolloのLine Out3+4→カラオケ
  • ApolloのLine Out5+6→リバーブ

これで配信のバランスは変えずに声とカラオケとリバーブの音量を手元で調整できます。バランス固定でよければボーカリスト用のサブミックスを作って送ればいいのでIOの少ないApolloでも行けるかと思います。
そしてこのApolloシリーズはレコーディングに耐えうる低レイテンシーで質の高いプラグインがかけられるのでレコーディングはもちろん配信でも非常に便利。特にアタック激早のFET系コンプを使えるはいいですね。ピークオーバー恐いからね。

OBSにDAWの出力を入れる


カラオケやクリックを配信者用のミキサーへ別系統で送る必要があるので自由にルーティングを組めるDAWに仕込みます。しかしOBSは標準状態だとDAWの出力(ASIO)を拾えないので、ASIO出力を拾えるOBS用プラグインをインストールしました。OBSのシーンに仕込んだWAVEの出力をOBS内でルーティングできたりすればDAWを使わなくてもよいかもですが…できないっすよね?(できないだろうと思ってあまり調べていない)

OBS用プラグインはasio plugin 2.0.3を使わせていただきました。ありがてぇ。ver.3も出ていましたが2のほうが枯れてそうだなーと。期待通り終始安定して動いてくれました。ありがてぇ。そういや最初Visual C++のランタイムを入れ忘れて数時間はまりました…

ASIOプラグインを入れると音声ミキサーにASIO Input Captureを追加できるようになります。

プロパティからApolloのモニターアウトを選びます。

カラオケやステムはDAWで再生

ここ数年メインにしているReaperを使用。ユーザースクリプトが走るのでアホみたいにカスタマイズができるDAWです。今回は曲の選択を簡単に行えるSong switcher (for live use)というスクリプトを使わせていただきました。

リストからマウスで曲を選び再生ボタンを押すだけの簡単操作。

「01.~」というふうに頭に数字を入れたフォルダを作るとスクリプトが認識してくれて、フォルダ内にオケやクリックのトラックを配置します。
デフォルトだとスクリプトのフォントが小さかったのでソースの最後らへんにあるフォントサイズの数字を書き換えました。

ライブ用のプレイリスト機能としてはDigital Performerのチャンク機能が有名ですね。Studio One5にも最近ショーページという機能が搭載されたので同じようなことができると思います。

リバーブとマイクのオンオフ

これが一番厄介でした。
ApolloシリーズはConsoleというソフトウェアミキサーで操作するのですが、こいつがMIDI信号に対応してくれないのでマウスで操作するしかありません。しかし曲の選択やらOBSのシーン切替やらただでさえマウス操作が忙しいのでこれ以上増やすのはミスに繋がる……そこで今回導入したのがTouch Portalというモバイル端末からWindowsやMacの操作ができる有料アプリです。PC上のアプリから自由にボタンのレイアウトを作る事ができます。

スマホのボタンを押すとPC画面上の任意のポイントをマウスクリックするという、すっごい力技のスクリプトを組みました。(ほかに思いつかなかったんです…)
しかしここで問題発生。おそらくWindowsのスケーリングを150%にしていたせいなのですが、Touch Portal内のマウスクリック機能を使うとクリック位置がずれてしまいます。仕方ないのでマウスクリック部分はAutoHotKeyで別途スクリプトを組みました。スケーリング100%環境ならTouch Portalだけで完結できると思います。

スマホのMicボタンを押すとPCにF14キーが送られ、AHKのスクリプトが走り、素早くマウスカーソルが動いてMicのミュートボタンがクリックされるという流れにしました。同じ感じでリバーブのMuteもババっと。勝手にマウスカーソル動かれると違和感すごい。

Touch PortalのボタンはIF文が使えたりとわりかし自由度が高いです。

AutoHotKeyのスクリプトも力技でがーっと。

F14::
;--- Mic1のMUTEボタンをクリックする
if ( WinExist("ahk_exe Console.exe") ){
 CoordMode, Mouse,Screen
 MouseGetPos, x0, y0
 WinActivate, ahk_exe Console.exe
 CoordMode, Mouse,Relative
 Sleep, 50
 MouseClick, left, 248, 729
 Sleep, 50
 CoordMode, Mouse,Screen
 MouseMove, x0, y0
}
return

ApolloのConsoleがいるがチェックして、いたらマウスカーソル位置を保存してConsoleをアクティブにして、マウスポジションを相対的にしてMuteボタンの座標を左クリックしてマウスカーソル位置を元に戻してます。Sleepはなくてもいいかも。動きゃいいのよこういうのはw
同じような内容でリバーブのMuteボタンクリック、DAWの再生停止ボタンクリックも作りました。これで配信中はマウスとスマホのタッチ操作で完結。そこそこ直感的な操作性を実現できたと思います。それでも手数多いけども。

Macですと有志の方が作ったApolloのConsoleをMIDI操作できるアプリがあったのでご参考に。
https://www.raduvarga.com/software/ua-midi-control
やや、今見たらWindows版がリリースされてる……!

OBSの出力にVSTプラグインでリミッターをかます

OBSはVST2プラグインが挿せるのでマスターのリミッターにフリーのW1 Limiterを使用しました。正確にはマキシマイザーですかね。ちょっと古いですがx64版もありレイテンシーも小さい優秀なプラグインです。

おもいのほか

長くなってしまったのでこのへんで。
配信に関してはまだまだ勉強不足。Ritaさんがよりパフォーマンスに集中できるよう、よりよい音をお届けできるよう、今後も試行錯誤していこうかと思います。よーしじゃあ音質向上を目指してUADのCustom 3 Bundle買おっかなぁ(とにかく金をつかう理由が欲しい)

2020年12月31日 | カテゴリー : 雑記 | 投稿者 : Uchiyama